こんにちは。名古屋オーシャンズフットサルスクール大府校コーチの木村です。
今回のブログは、常識では考えられないスピードで成長しているSくんについて書きたいと思います。
通常の成長スピードを大きく上回ることを『覚醒』と勝手に呼んでいますが、Sくんは間違いなく覚醒した生徒の1人です。
現在3年生のSくん。初めて会ったのは一昨年の7月だったかと思います。
私が大府校の担当になるにあたり火曜日と木曜日だけ先行して大府校に来ていた時期です。
「のんびりした子だなぁ」というのが第一印象でした。
のびのびと楽しそうにボールを追いかけている姿が好印象でしたが、ボールの扱いはまだまだで、少し動きがぎこちなかったので「焦らず長い目で見てあげよう」と思いました。
印象が変わったのは、週2コースに変更してくれた頃からでしょうか。
お母さんとお話しさせて頂いている中で「僕はディフェンスが得意だ」とお家で言っていると伺いました。
私もその頃には、Sくんが自分なりに狙いを持ってプレーしていることに気付き始めていた時期でした。
Sくんは味方が抜かれた時にカバーに入ることが多く、最初は偶然かな?と思っていましたが、何度もそのようなプレーをすることと前述の「ディフェンスが得意」という発言を聞いて確信しました。
「この子はマイペースでのんびりしている時もあるけど、自分で考えて工夫する能力がすごく高い子だ!
答えを与える指導じゃなくて、自分で考える余白を作ってあげよう!」
そう思いました。
しかしその後もまだ覚醒までには時間を要します。
個人的にはあと3つSくんが覚醒するに至ったトピックがあると思っています。
1つ目のトピックは練習前後の振る舞いです。
Sくんは1つ年上の友達と一緒にスクールに来ていますが、いつも早めに来て本当に楽しそうに友達と遊んでいます。
練習後も名残惜しそうに遊んでいる姿を見て「この子達は絶対伸びてくだろうなぁ」と思いました。
覚醒する子の共通点については後ほど詳しく書きますが、そのうちの1つがフットサル・サッカーが好きでたまらないところです。
Sくんはまさにそんな感じでした。
2つ目のトピックはU-8施設連盟選手権です。
昨年2月に希望者を募って参加した大会で、東海大会に運よく進めることになり、予選とトレーニング、トレーニングマッチ2回、東海大会と合計5回チーム活動をしました。
スクールでももちろん上達していくのですが、チームとして真剣勝負を戦うことで得られる経験は何者にも代えがたいものがあります。
チームと一員としての責任感も2年生なりに感じたと思いますし、仲間とつかむ勝利の楽しさを感じてくれたのだと思います。
その時の動画がこちらです。
3つ目のトピックはエリートプログラム合格です。
少し話は逸れますが、初年度から携わっているこの『エリートプログラム』ですが、ネーミングが合わないなぁと思っています。
過去の先輩たちを見てもむしろ『雑草集団』という方がしっくりきます 笑
順調なサッカー人生フットサル人生を送っている子は少なく、むしろ「サッカーチームでなかなか陽の目を見ない」「元々運動が得意ではない」というような子が多いです。
『そんな子たちがエリートに追いつき追い越せるように頑張っている集団』というのが実情に合っていると思っています。
Sくんは自らの頑張りにより、エリートプログラム合格の切符を掴み取りました。
そこからの成長は目覚ましくまさに『覚醒した』感じです。
「僕は左足の方が強いシュートが出来る」
ご自宅でそのように話をしていたそうですが、まさにその通りでどんどん左足のシュートの質が上がっていきました。
Sくんの自己分析の素晴らしさと周りの声を聞く素直さは本当に素晴らしいと思います。
ディフェンス然り左足然り。Sくんはコーチに褒められたことを覚えていて、そこから自分の長所を見出していく力があります。
今ではディフェンスや左足のシュートはもちろん、ドリブルで相手を抜いていくシーンも増えましたし、プレー全体が力強くなりました。
自信をつかむことで子供のプレーは劇的に変わりますね。
指導者をしているとSくんのように毎年覚醒する生徒に出会います。
そしてその頻度が年々増えていっているとも思います。
彼らに共通するのは
①フットサル・サッカーが大好きで、自然に練習量が増えている(内発的動機付けが強い)
②緊張するような場面にもチャレンジし続けている(生理的情緒的高揚の獲得)
③親御さんの期待して見守るスタンス
の3つです。
①は前述の通りですが、②③に関してもとても重要です。
少し難しい話になってしまいますが、自己効力感(≒自信)を定義しているのは、アルバート・バンデューラ(カナダ出身心理学者)によると自己効力感を高める4つの方法の内の1つに『生理的情緒的高揚』というものがあります。
引用:Bandura,A.(1977)Self efficacy:Toward a unifying theory of behavior change.Psychology Review,84(2):195-215.」
苦手な事の克服。的確なアドバイスから困難を乗り越えた体験のことを指しますが、もっと簡単に言うと「やったー‼︎」と声を上げて喜びたくなるような体験のことです。
そしてこのような体験をするためには、壁から逃げずにチャレンジし続けることが大切になってきます。
なにがその子にとって『壁』になるかはそれぞれですが、スクールにある程度通ってくれるとスクール内での成功(例えばゴール)では、生理的情緒的高揚は感じられなくなってきます。
そこで大切なのは対外試合などのイベントに参加することです。
前述のエリートプログラムの先輩たちも多くの子達が、イベントのヘビーユーザーでした。
合宿や交流戦、トレーニングマッチに参加してくれる中で刺激を得て成長していきました。
これはそのまま③にも繋がってきます。
覚醒していく生徒の親御さんはたくさんのイベントに参加させてくれるだけでなく、プレーに関して細かいことは言わず、期待しながらも見守っていくスタンスを取られています。
これは本当に大切なことで「期待されていない」と感じると、誰でもやる気は無くなっていきます。これは研究でもはっきりしています。
そして細かく口を出されるとこれもやる気を損なう大きな要因になります。
大人の方も車の運転中に助手席から口を出されると良い気持ちはしないと思います。それと同じです。
きっとSくんのお母様も「僕はディフェンスが得意なんだ」と言って来た時にも「そうなんだ。すごいね」と返されたのではないかなと思います。
内心は「もっとドリブルとかシュートとかも頑張って欲しい」という気持ちがあったかもしれませんが、それを言ってしまうと子ども自身の考えを否定してしまうことにもなりかねません。
親御さんが色々言いたい気持ちをぐっとこらえて本人の意見を尊重したからこそ、Sくんは自分で考え工夫する能力が身についていったのだと思います。
Sくんを見ているとマイペースでボーっとしているように感じられる子も、その子なりの考えを持っていることが多いことがわかります。
むしろ自分なりに考えているからこそ技術が未熟な頃はミスが目立つのかなと思います。
Sくんからそのようなことを教えてもらいました。
もし今お子さんを見て「うちの子どんくさいなぁ」とか「プレー中にボーッとして集中できていないことが多いなぁ」と感じている親御さんがいらっしゃいましたら、是非Sくんのケースをモデルケースの1つとして知っておいて欲しいなと思います。
子供の可能性を信じ抜く
私の指導者としての理念であり理想です。
これからも生徒1人1人を才能の塊だと信じ切って指導していこうと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
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