こんにちは。名古屋オーシャンズフットサルスクール大府校みなと校コーチの木村です。
さて今回はフットサルW杯のベスト16日本対ブラジルの1戦について書きたいと思います。
試合結果などわかってしまいますので「これからabemaTVで観る」という方は、観戦後に続きを読んでいただくことをお勧めいたします。
▽悔しくてたまらない結果
結果は2-4の敗戦です。
終盤まで同点でさらにブラジルは5ファールが貯まり、次ファールをしたら第2PKという状況でした。
ブラジル代表からすると間違いなく苦戦したという内容でしたし、日本側からすると『善戦した』『惜敗』と言っていい内容でした。
選手及びコーチ陣の皆様には是非、胸を張って帰って来て欲しいと思います。
しかし、それだけで終わらせてはいけません。
特に我々指導者はこの結果を真摯に受け止めて
「惜しかったね」で終わらせずに次に繋げて行く使命がある
と思います。
▽素晴らしかった日本代表
まず今大会の日本代表は本当に素晴らしいチームだったことを書いておきたいと思います。
ブルーの監督のもと、ベテランが中心となり「日本のフットサルの歴史を塗り替えるんだ‼︎」という強い意気込みをプレーから感じました。
特にグループリーグのスペイン戦(ランキング1位)と今回のブラジル戦(ランキング2位)との対戦では大いに相手チームを困らせ、焦らせることに成功していました。
日本代表から感じる一体感はチームスポーツの醍醐味を見事に体現してくれていたと思います。
また各選手はSNSを通じて応援を呼びかけたり、メディアに積極的に出る姿を見て目の前の試合のことや自分のことだけを考えず、フットサル界全体のことを考えてくれていることが感じられ、彼らの人間性を心から尊敬しています。
そして逸見選手と清水選手を除く全員がFリーグのチームに所属しており、普段から見ている選手たちが集まる”オールスター感”は私を含むファンを大いに興奮させてくれました。
▽通用した部分
結果としては1勝3敗となりましたが、簡単に負けた試合は1試合もありませんでした。
どの試合も日本代表の前プレ(前線からのプレッシング)は、相手にとっては嫌だったと思います。
非常に連動性が高く、ハメて奪うことができていました。
ブラジル戦の後半はほぼ相手ボールで展開が進み、精神的にも非常に苦しかったと思いますが、最後まで崩れることなく、集中力を保っていました。
メンタル面でも素晴らしかったと思います。
個人で見ればアルトゥール選手、星翔太選手、西谷選手、イゴール選手の活躍が特に印象に残っています(イゴール選手以外は名古屋オーシャンズに所属する選手です)。
特にアルトゥール選手は世界一のピヴォであるブラジルのフェラオ選手にほとんど仕事をさせていませんでしたし、持ち前の得点力も発揮してくれていました。
世界中のメディアやファンの方は、観ていて驚いたのではないでしょうか?
▽通用しなかった部分
通用しなかったと言うと語弊がありますが、私的にまだまだ世界と差があるなと感じた部分もありました。
1つはフィジカルです。
日本代表の選手たちもかなり逞しい体つきをしているとは思いますが、ブラジル代表のホドリゴ選手やスペイン代表のソラーノ選手などを目の当たりにすると、まだまだ差があると感じてしまいます。
もう1つはプレーの引き出しの多さとその引き出しに入っている武器の強力さです。
わかりにくい表現になってしまいますが、例えば日本が敗戦したパラグアイは決勝トーナメント進出でアルゼンチンに1対6で敗戦しています。
パラグアイのゾーンDFに対して日本同様アルゼンチンも苦しんでいました。
特に前半はパラグアイペースで1-0でパラグアイがリードする形で終えました。
ですがそこから前プレからのショートカウンターで同点にするとあれよあれよと言う間に6点を奪って勝ってしまいました。
システム攻撃からキレイに崩して点を取ることができなくても、前プレやコーナーキックで点が取れるという引き出しの多さ、そしてその1つ1つの精度の高さ、強力さは世界トップクラスと比べるとまだ差があるなと感じました。
▽どうやって世界との差を埋めるか?
これは私などがとても一言で断定できる問題ではないのですが。
それでも生意気に言わせてもらうなら、育成年代から計画的に選手を育てていく他ないと思います。
例えばオーシャンズスクールでは『年代別育成目標テーマ』というものを掲げています。
「1,2年生に身につけるべきものはコレ。そこから発展して3,4年生ではこういうことを身にさせよう」
というものです。
スペインやブラジル、アルゼンチンなどの強豪国の選手たちを見ているとあらゆるプレーを自然体でこなしています。
力みもなく判断ミスもほとんどありません。
なぜならそれは彼らにとってその状況は経験済みだからです。
小学生の頃から色々な戦術を段階をおって経験し、またそれに対策を打たれ、またその対策の対策をトレーニングから落とし込む。
そのような経験を重ねてきた選手たちは、1つ1つの局面でとても落ち着いてプレーできています。
翻って日本を考えた時に、先に挙げた特に活躍が目立った選手全員がベテランです。
日本のベテランと呼ばれる年代の選手と同じレベルの戦術的な経験値を強豪国の選手は全員持っているのかもしれません。
この差はとても大きいです。
日本の前プレは世界にも通用しました。
このような世界レベルの武器を複数持つために、大人になってからフットサルを学んでいては中々難しいのではないかと思っています。
単純に武器を磨いていく時間が足りません。
そしてその武器を真剣勝負の中で磨いていく必要があります。
▽真剣勝負の機会を増やすべき
小学生年代のフットサルの公式戦はバーモントカップと各県のリーグ戦のみです(リーグ戦がない県もたくさんあるそうです)。
正直これでは全く足りていないと思います。
バーモントカップの愛知県予選は7月、全国大会も8月には終わります。
そのあと、フットサルキッズ達は何を目標にトレーニングすればいいのでしょうか?
もちろん民間の大会もありますが、それだけでは足らないと私は思います。
やはり真剣勝負で得られる経験値というのは、計り知れないものがあります。
バーモントカップを勝ち上がるごとに本当にみるみる成長してく選手達の姿を毎年見ています。
このような大会がもっと増えることが、間違いなく日本のフットサルの発展に繋がると思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
最後の方は偉そうなことを書いてしまいましたが、1人の育成年代を預かる指導者として、今後の日本フットサル界にほんの少しでも貢献できればと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
引き続きフットサルW杯を楽しみましょう‼︎